溺愛結婚は突然に〜ホテル王から注がれる、溢れるほどの愛〜



牧師さんの前に立つと、一気に今までの記憶が蘇る。


優吾さんに出会った日。
日本で再会した日。
付き合った日。
デートを重ねた日々。
プロポーズの日。
旅行に行った日。


そして今日の、結婚式。


全てが私にとって刺激的で、とても大切な思い出となった。


牧師さんから問われるはじまりの宣誓に



「I will(はい)」



とそれぞれ答える。


そして牧師さんの誓いの言葉を続けて順番に復唱する。



「I, Yugo, take you, Kureha, for my lawful wife, to have and to hold from this day forward, for better, for worse, for richer, for poorer, in sickness and health, until death do us part.(私、優吾は、紅葉を私の妻として迎え、今日この日から良い時も悪い時も、豊かな時も貧しい時も、病気の時も、健康な時も、死が二人を分かつまで支えます)」



目を見て柔らかく微笑んだ優吾さんに、私も繰り返す。



「I, Kureha, take you, Yugo, for my lawful husband, to have and to hold from this day forward, for better, for worse, for richer, for poorer, in sickness and health, until death do us part.(私、紅葉は、優吾を私の夫として迎え、今日この日から良い時も悪い時も、豊かな時も貧しい時も、病気の時も、健康な時も、死が二人を分かつまで支えます)」



手を繋いで、目を見て誓う。


優吾さんの愛おしさが溢れ出した視線に、誰かが息を呑む音が聞こえた気がした。


指輪の交換を終えて、そっとキスを交わす。


溢れんばかりの拍手と歓声、それから鳴り響く鐘の音に包まれながら、私たちは一生の愛を誓い合った。


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