溺愛結婚は突然に〜ホテル王から注がれる、溢れるほどの愛〜
エピローグ
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式と披露宴を終えた私たちは、翌日加賀美の創業記念セレモニーにも出席した。
お祖父様の挨拶と共に乾杯した後。
「な?抜け出せたろ?」
「でもお祖父様にバレたら私怒られるんですけど……」
「いいだろ。新婚なんだし。何か言われたら俺のせいにすれば良いよ」
私と優吾さんは、パーティーを抜け出してラスベガスの街を歩いていた。
優吾さんに手を引かれながら前に進むと、この日のために新調したコーラル色のロングドレスが風で揺れる。
スリット部分が膨らみそうになったのを慌てて手で抑えた。
「あの日も、こうやって抜け出してきたんですか?」
「うん、そう。結構簡単だったろ?」
「いや、簡単も何も堂々と出てきましたよね?」
「堂々としてるのが一番怪しまれないもんなんだよ」
子どものように無邪気に笑う優吾さん。今日は私も共犯だから、強くは言えない。
そのままどこに行くのか、少し夜風にあたりながら散歩しているうちに、辺りが騒がしくなってくる。