夜が明けぬなら、いっそ。




「ふっ、やめ…ろっ、んん…!」



なんだこれは…。力が出ない…。


抵抗したいのに、手も後頭部も取られてしまっては。

だから男はズルいんだ、こいつはいつもズルいんだ。



「んんっ…、はっ…!やめ…っ」



むさぼるような動きだった。

全てを食らい尽くされてしまうんじゃないかと、本気で思ってしまう。


せっかく抱き起こされたというのに支えられながらも倒されて。

何度も何度も合わせて、角度を変えて甘く激しく重ねてくる。



「───…悪いね、」



悪いね、だと…?


接吻とやらを終えて、やりたいだけ好きにしておいての第一声がそれか。

随分とふざけていやがる。



「君はもっと自覚するべきだ。…女の子だってこと」


「っ、やめ…ろ、」



首筋から背中、背中から腰。

つうとなぞるように撫でるように、なにかを奮い立たせるように触れてくる。



「だとしても…、せ、接吻は…関係ないだろ…、」


「あるよ。小雪にしては煩かったからね、これくらいしないと静まらないと思って」


「…ふざけるな、私は、…誰ともしたことが無かったんだ、」


「それは俺も同じ。だから安心するといい」



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