夜が明けぬなら、いっそ。
「こちら茂くん。俺の親友なんだけれど、君を4人目の妻にしたいんだと」
「……え、」
いや阿保なのかお前は…。
そこまで正直に紹介する奴があるか。
さすがに誰だってその反応をするに決まってるだろ。
「え、あの…あなた様の妻ではなくて…ですか…?」
「え?俺?あぁごめん、俺の嫁はこの子だから」
「っ、おい、」
どうしようかと悩んでいた私の肩が、ぐいっと引き寄せられた。
なんだこの状況は…。
おい、泣きそうな女の子が私の前にいるんだが。
そして上様は……塵と化している。
「かわいいだろう?小雪って言うんだけれどね、少し乱暴に見られがちだけど本当は不器用で優しい子なんだ」
私の紹介をしてどうする。
こいつは空気が読めるのか読めないのか、さっぱりだ。
「あの、あなた様の4人目の妻にはしていただけないのでしょうか…?」
「4人?そんな多すぎるのは勘弁。俺は1人しか愛せない主義でね、こう見えても」
「そ、そうですか…。し、失礼しますっ!!」
……なにをしてるんだ、こいつは。
なんの時間だったんだ。
なにひとつ任務を遂行できていない。