夜が明けぬなら、いっそ。




そんな奴らも居たな、と。

今ではそれくらいの思い出に変わってしまっているが、土方やら沖田、近藤。

その名前はしっかりと記憶している。


しんせんぐみ───…。

これといって悪くはない名前だ。



「また京に行って彼等に挨拶してもいいかもしれないね」


「…お前は、いつまで私と一緒にいるつもりだ」


「ん?…小雪の旅が終わるまで、かな」



そっと肩に手が回されて、くいっと引き寄せられる。

寄りかかるように触れ合った頬と髪。


「寒くはない?」なんて、優しい問いかけに慣れてしまった違和感。

その中でも落ち着かない気持ち。



「…また少し細くなったね、小雪」


「そうか…?普通だ」


「いいや、細くなった」



進行は止まっていないのだろう。

せめて景秀と居るときは無理にでも出来るだけ咳は抑えるようにしているが、やはり身体の影響は隠せられない。


……労咳。

せめて治療法のある病気だったら許せたものを。



「…薬が苦いんだ」


「わがまま言わないで。ちゃんと毎日飲まなければ駄目だよ」


「あんなの効かぬ」


「だとしてもだ。…俺がまた蘭方医に貰ってくるから」



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