夜が明けぬなら、いっそ。
「ふっ、」
と、男の1人の笑い声だけが気になった。
今ここで斬るべきか。
それとも、もう少し進んだ先にまだ仲間がいるかもしれない。
「優しいねェ、姉ちゃん」
「っ!!」
ガキィィイン!!!
女と見破られていた返事を聞いてすぐに抜刀、しかしギリギリで止められた。
「おっと危ねェ、こんな物騒な女がいるなんて江戸は怖ェなァ」
「…それは私の台詞だ。女を襲って何がしたいんだ。あぁ、花街に行く金すら無いんだろうな」
「うるせェ!!おい!お前ら!!」
パチンと指を鳴らした合図。
ぞろぞろと木陰から男達の集団が出て来た。
「…どういうことだ」
「はははっ!お前らのことなんか最初から知ってたんだ万屋さんよォ。だから向こうには誰も居ねェ」
逆に嵌められたということか。
となると、今頃景秀は私を探して走り回っているのかもしれない。
そんなものを考えたら、なぜか笑みがこぼれてしまった。
「お前が女なら丁度いい。どれ、…よく見るとさっきの女より可愛い顔してんじゃねェか───……え?」
ザシュッ……!!
ブシャッ!!と、血しぶきが飛び散った。