夜が明けぬなら、いっそ。




逃げていく者がほとんどだったが、逃げないで笑っている男もいた。


そんな中で1人、また1人と、私は命を斬ってゆく。

視界が赤く染まりつつも、誰かの血ならそれはその方がいい…とも。



「───ゴホッ…!!ガハッ、」



やっぱりか…。

出来る限り片付けたいところだったが、まだ司令塔の男が生きている時に発作。

今度は私から血が飛び出した。



「おいおい随分細ェとは思ってたけどよ、まさかお前…労咳か?」


「…だったらなんだ、お前らからしたら…有利だろう、ゴホッ、ゲホッ…!」


「…可哀想だなァお前。よし、やめた」



そいつは刀を捨てて、うずくまる私の前に立った。

ぐっと柄を握ったとしても苦しさに襲われて、咳込むことで一苦労。



「お前はこっちの方が望んでんだろ?」


「なにをする…っ!やめろ…!」



そのまま地面に押し倒された。

容赦なく着物の帯をほどいてくる手、のし掛かられる身体。


なんだ……?

なんで私はこんな男に覆い被さられてるんだ…?



「やめ…っ、やめろ、」


「おいおい泣くなよ嬢ちゃん。なんだ、普通にそこらの女と変わらねェ」



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