夜が明けぬなら、いっそ。
決意の三
「……京より寒いってどういうことなんだ」
「知らん、私に聞くな」
「うわぁ、雪よりも冷たいね小雪は」
笠にはこんもり雪が積もってしまった。
歩きながら首を斜めに傾ければ、ザッと地面に落ちる。
足跡を辿って来たものの、この先は足跡すら付いていない山奥。
「この道で本当にあってるの?」
「…話の通りには近道らしい」
「あ、向こうに小屋があるよ。今日はあそこで暖を取ろうか」
もう少し進みたかったが、風も強まってきた。
吹雪になりそうな予感を察知して、今日は連れの言うとおりにすることに。
ヒュウウウウウーーーと、全身を凍らせるような北風が常陸国へ向かう私と景秀の足を阻んでくる。
「おお、外観通りっちゃ通りだね」
「……やめるか」
「いやいや何を言ってるのかなこの子は。外よりは断然いいでしょうが」
今にも風で吹き飛びそうな屋根、所々雨漏りをしている室内。
しかし大荒れの吹雪を凌ぐためには文句は言ってられない空き家。
「ほら、食べな。途中で買っておいて正解だった」