夜が明けぬなら、いっそ。




「寒いだろう?女の子に風邪を引かせるわけにはいかないんだ俺だって」


「…平気だと言ってるだろ。お前はくど過ぎる」


「別にいいさ、それで」



体重を預けるように寄り掛からせられると、少しも動じない身体に生まれた悔しさ。

男の身体は便利でいいな…。

女の私は線も細く、戦いでも不利なことばかりだ。



「小雪、常陸国は楽しみ?」


「…楽しみって、なんだ」


「んー…ほら、もしかしたら何か進展があるかもしれないだろ?」



楽しみとは少し違う。

父さんの暗殺者を見つけ出すのは、これはもう使命のようなものだ。


見つけ次第、跡形もなく斬り捨てる。

だから楽しみと言われると…少し違和感があった。



「殺した先には…なにがある」


「え?」


「…私の生きる理由が無くなるんだ」



それを目標に生きてきた。

9歳のときに父さんが何者かに暗殺され、それからは生きることに必死で。

本当は殺さなくてもいい命を私自身が騙されたままに殺してしまったことだってある。


今まではその最終目的があったから良かったが、それが果たされたとき、私はどうなってしまうのだろう。



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