夜が明けぬなら、いっそ。
景秀side
「はぁ、はぁ…」
「困った、熱が下がらないな…」
濡らした手拭いを額に乗せて、苦しそうに呼吸を上下に動かす小雪。
もう丑三つ時だ。
外はまた吹雪が嵐のように舞っていた。
「…このまま行かないでくれないかなぁ」
小雪が探している伊佐という男は、かつて周りから“先生”と呼ばれていた徳川家の家臣である男の知り合いだった。
そいつは戸ノ内 彦五郎の知り合いでもあって、壬生浪士組の土方が言っていたとおり裏売買に関わっている男だ。
そして───…俺の情報も少しは知っているだろう。
「良い奴なのはお前だよ小雪。お前は…優しくて鈍感すぎる」
だからいけないんだ。
もっと疑ってかかれ、暗殺者ならば。
俺のことだって数馬のことだって、結果お前が悲しい思いをするだけだろう。
「お前の父親を殺したのは───…俺だよ、トキ」
お前を救いたかったから、そんなことを言ったところで信じやしないだろ?
だから俺の最後はお前に殺される。
そんなこと、戸ノ内を殺したときから覚悟していた。
いずれこんな日は来るだろうと。
「はぁ、はぁ…」
「困った、熱が下がらないな…」
濡らした手拭いを額に乗せて、苦しそうに呼吸を上下に動かす小雪。
もう丑三つ時だ。
外はまた吹雪が嵐のように舞っていた。
「…このまま行かないでくれないかなぁ」
小雪が探している伊佐という男は、かつて周りから“先生”と呼ばれていた徳川家の家臣である男の知り合いだった。
そいつは戸ノ内 彦五郎の知り合いでもあって、壬生浪士組の土方が言っていたとおり裏売買に関わっている男だ。
そして───…俺の情報も少しは知っているだろう。
「良い奴なのはお前だよ小雪。お前は…優しくて鈍感すぎる」
だからいけないんだ。
もっと疑ってかかれ、暗殺者ならば。
俺のことだって数馬のことだって、結果お前が悲しい思いをするだけだろう。
「お前の父親を殺したのは───…俺だよ、トキ」
お前を救いたかったから、そんなことを言ったところで信じやしないだろ?
だから俺の最後はお前に殺される。
そんなこと、戸ノ内を殺したときから覚悟していた。
いずれこんな日は来るだろうと。