オトメは温和に愛されたい
幼い頃なら温和と一緒に写った写真が山ほどあったんだけど、大きくなってからは――というより温和に線引きされてからは――なかなかそういう機会に恵まれなくて……。
でも私、どうしても大好きな温和の写真が欲しくて、高1の頃、廊下に貼り出されていた修学旅行の写真、こっそりカナ兄の名前で温和の写ってるの数枚、頼んじゃったことがあるの。
それをカナ兄に見つかってしまって。
鳥飼奏芽の名前で申し込んだんだから、カナ兄が頼んだ写真を手にすることは容易に分かっていたはずなのに、あの頃の私、本当浅はかだった。
カナ兄にニヤニヤされながら「ほい、音芽。お前が注文してたハルの写真」って封筒を手渡されたとき、顔から火が出るかと思った。
封筒の筆跡で、カナ兄には私が自分の名を騙って温和の写真を買ったことは一目瞭然だったみたい。
カナ兄にバレて、私の恋心、温和に伝わらないわけないし、絶対面白半分で温和に言われちゃうって思ったの。
なのにカナ兄、「俺もそこまで野暮じゃねぇからハルには何も言ってないよ」と頭をクシャッと撫でてくれたから、お兄ちゃん!……って少し見直したのよ。――でもね、甘かった!
あれからことあるごとにそれをネタに私、カナ兄に脅されている気がするっ。
(何年も告白できずにうじうじしている私が悪いんだけど)
実際、私が温和に気持ちを打ち明けてたら、カナ兄だっていつまでもこのネタで私を脅したりはしないはずなのに……。
私の反応を見て、カナ兄が呆れたように「お前、まだ言えてないのな」とつぶやいたのも、悔しいけどもっともだと思う。
でも私、どうしても大好きな温和の写真が欲しくて、高1の頃、廊下に貼り出されていた修学旅行の写真、こっそりカナ兄の名前で温和の写ってるの数枚、頼んじゃったことがあるの。
それをカナ兄に見つかってしまって。
鳥飼奏芽の名前で申し込んだんだから、カナ兄が頼んだ写真を手にすることは容易に分かっていたはずなのに、あの頃の私、本当浅はかだった。
カナ兄にニヤニヤされながら「ほい、音芽。お前が注文してたハルの写真」って封筒を手渡されたとき、顔から火が出るかと思った。
封筒の筆跡で、カナ兄には私が自分の名を騙って温和の写真を買ったことは一目瞭然だったみたい。
カナ兄にバレて、私の恋心、温和に伝わらないわけないし、絶対面白半分で温和に言われちゃうって思ったの。
なのにカナ兄、「俺もそこまで野暮じゃねぇからハルには何も言ってないよ」と頭をクシャッと撫でてくれたから、お兄ちゃん!……って少し見直したのよ。――でもね、甘かった!
あれからことあるごとにそれをネタに私、カナ兄に脅されている気がするっ。
(何年も告白できずにうじうじしている私が悪いんだけど)
実際、私が温和に気持ちを打ち明けてたら、カナ兄だっていつまでもこのネタで私を脅したりはしないはずなのに……。
私の反応を見て、カナ兄が呆れたように「お前、まだ言えてないのな」とつぶやいたのも、悔しいけどもっともだと思う。