オトメは温和に愛されたい
*後悔したくない
 結局男性と一緒にパンケーキを食べに行くと、お食事系に走る傾向が強いのかな?と思ってしまった。
 カナ(にい)のせいな部分が大きい気もするけれど、ベッタリと甘いメニューを頼んだのは私だけで。

「私、これにする! 季節のフレッシュフルーツパンケーキ!」

 そう言ってメニューから顔を上げたら、カナ(にい)から露骨に嫌そうな顔された。

 でもしょっぱいのを食べたら甘いのも美味しかったみたい。何だかんだ言いながら、お兄ちゃん全種類美味しそうに食べてたっけ。

 思い出したら口の中に幸せな風味が(よみがえ)って、私は思わずニンマリしてしまう。


「……気持ち悪い」

 と、ハンドルを握る温和(はるまさ)に冷たく一蹴(いっしゅう)されて、私は慌てて顔を引き締めた。

「ね、温和(はるまさ)、カナ(にい)とは何で別々に来たの?」

 どちらかの車に一緒に乗ってくればよかったのに。
 そんな意味を込めて温和(はるまさ)を見つめながら、先程のやり取りを思い出す。

 パンケーキ屋さんを後にした私たちは、鶴見(つるみ)先生も利用したコインパーキングに戻ってきた。

 来た時はあれこれあり過ぎて気持ちが一杯一杯だったからかな。全然気づけなかったけれど、見れば温和(はるまさ)の黒のタントカスタムと、カナ(にい)の白のフォレスターが並んで駐車してあるのが分かった。
< 101 / 433 >

この作品をシェア

pagetop