オトメは温和に愛されたい
***

 あとで行くね、と念入りに約束をして、私はすぐにシャワーを浴びた。

 ボディソープをふわふわに泡だてて身体を包み込んでから、優しくマッサージするように撫で回したあとで綺麗に洗い流す。
 髪もちゃんと洗った。

 バスタオルを素肌の上に巻き付けた姿で洗面所に立つと、ドライヤーで髪を乾かしながら考える。

(本当にあのダサいの、着ていくの?)

 あれで告白したら、折角鶴見(つるみ)先生のにおいを落として悔いのない形を目指しているのに、シャワーを浴びた行為自体が無駄になりそうな気がした。

 可愛くないルームウェアで告白したからうまくいかなかったのよ、とかなりそう……だよ、ね?

 でもあのルームウェアじゃないと話聞いてくれないって言うし。

 話聞いてもらえなかったら……それこそ本末転倒じゃない?

「あーん、どうすればいいのよぉー?」

 思わず声が出てしまう。


***


 私はすごく迷ってクローゼットを開けると、お目当ての赤い服を引っ張り出した。
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