オトメは温和に愛されたい
ほわほわした頭で温和を見つめていたら、首筋を辿って下りてきた彼の手が、シャツワンピにかかって――とても丁寧な所作で、上から順にひとつずつボタンが外されていく。
温和の手で、胸元が肌蹴られていくのを他人事のような気持ちで傍観していたら、私の反応を見つめていた彼が、ゆっくりと屈み込んできて、不意に胸元へ彼の吐息がかかった。
その感触に、視線を温和に向けて、私は今更のようにハッとする。
やだ……! わ、私っ、ブラ……見えちゃってる!
ここへきてやっと、私は流されかけていた自分に気付いて正気に戻った。
いけない――。
大好きな温和に求められたのが嬉しくて、つい流されてしまうところだった!
まだ気持ちも伝えていないのに、なぁなぁで抱かれてしまうとか……あり得ないよ。
私は温和とエッチしたいわけじゃない。ただ、ちゃんと好きって伝えたいだけなのに……何してるの?って思ったら、自分で自分の愚かさが、本当に嫌になった……。
ギュッと温和の手首を掴んで彼を見つめると、小さく首を振ってイヤイヤをする。それを見て、温和がハッとしたように慌てて胸元から手を引いてくれて、私は心底ホッとする。
「……温和、私ね、こ、んなの、嫌、だよ……? 恋人でもない相手に……こういうのは……ダメ……」
――こんなことをしたら……逢地先生に対する裏切りだと思うし。ね?
私はその言葉を、寸でのところでグッと飲み込んだ。それを言ってしまったら、大好きな温和と素直に触れ合えない自分が、何だか惨めになりそうで。
私は気持ちを切り替えると、温和を見つめて、呼吸を整えながら少しずつ言葉をつむぐ。
「それに私、話したいこと、あるって……言った、よね? まずは約束通り、話、聞いてよ? こういうこと、したくて、可愛い格好を、してきたわけじゃ、ないんだよ? 温和の言いつけを守らなかったのは……私も良くなかった、けど。でも、だからって……こういうのは……鶴見先生のやり方と変わらないって思わない?」
そう言ったら、温和がグッと下唇を噛んだのが分かった。
ごめんね、温和。
お風呂入って、一人暮らしの異性の家を訪れてこんな格好……。
男性なら誘ってると思っても不思議じゃなかったんだよね、きっと。
カナ兄の言動でそう言うのは学んでたはずなんだけどな。
私、温和に限っては、何故か奏芽のやり方と重ならなくて失念してた。
温和が私の手を引っ張って起こしてくれて、私はスカートの裾を整えると、ベッドの上に正座する。
「温和……。……あのね、私――」
温和の手で、胸元が肌蹴られていくのを他人事のような気持ちで傍観していたら、私の反応を見つめていた彼が、ゆっくりと屈み込んできて、不意に胸元へ彼の吐息がかかった。
その感触に、視線を温和に向けて、私は今更のようにハッとする。
やだ……! わ、私っ、ブラ……見えちゃってる!
ここへきてやっと、私は流されかけていた自分に気付いて正気に戻った。
いけない――。
大好きな温和に求められたのが嬉しくて、つい流されてしまうところだった!
まだ気持ちも伝えていないのに、なぁなぁで抱かれてしまうとか……あり得ないよ。
私は温和とエッチしたいわけじゃない。ただ、ちゃんと好きって伝えたいだけなのに……何してるの?って思ったら、自分で自分の愚かさが、本当に嫌になった……。
ギュッと温和の手首を掴んで彼を見つめると、小さく首を振ってイヤイヤをする。それを見て、温和がハッとしたように慌てて胸元から手を引いてくれて、私は心底ホッとする。
「……温和、私ね、こ、んなの、嫌、だよ……? 恋人でもない相手に……こういうのは……ダメ……」
――こんなことをしたら……逢地先生に対する裏切りだと思うし。ね?
私はその言葉を、寸でのところでグッと飲み込んだ。それを言ってしまったら、大好きな温和と素直に触れ合えない自分が、何だか惨めになりそうで。
私は気持ちを切り替えると、温和を見つめて、呼吸を整えながら少しずつ言葉をつむぐ。
「それに私、話したいこと、あるって……言った、よね? まずは約束通り、話、聞いてよ? こういうこと、したくて、可愛い格好を、してきたわけじゃ、ないんだよ? 温和の言いつけを守らなかったのは……私も良くなかった、けど。でも、だからって……こういうのは……鶴見先生のやり方と変わらないって思わない?」
そう言ったら、温和がグッと下唇を噛んだのが分かった。
ごめんね、温和。
お風呂入って、一人暮らしの異性の家を訪れてこんな格好……。
男性なら誘ってると思っても不思議じゃなかったんだよね、きっと。
カナ兄の言動でそう言うのは学んでたはずなんだけどな。
私、温和に限っては、何故か奏芽のやり方と重ならなくて失念してた。
温和が私の手を引っ張って起こしてくれて、私はスカートの裾を整えると、ベッドの上に正座する。
「温和……。……あのね、私――」