オトメは温和に愛されたい
 私の問いかけに温和(はるまさ)が息を詰めたのが分かった。
 次いで、はぁっと小さく息をついて、首に回した私の手に触れると、「お前……、俺が結構限界なの分かってて、そういうことしてるわけ?」って聞いてきて。

 ん? 限界?

 何が?って聞こうと思ったら、ギュッと手首を掴まれた。

温和(はるまさ)?」

 声をかけたと同時に両手を一旦上にグイッと持ち上げられて、そのまま向きを変えた温和(はるまさ)にベッドへ押し倒されていた。

 え? あれ? どういう……状態?

 イマイチ現状が把握できなくて戸惑う私に、温和(はるまさ)が小さく吐息を落とす。

「あんなくっ付いてきといて、まさか誘ってないとか言わないよな?」

 さ、誘って……? って……えっ!?

 そんなつもりっ――、

「なっ、……」

 ないですっ!て伝えようと開いた唇を、温和(はるまさ)に塞がれる。

「んっ」

 さっきみたいについばむようなキスではなく、今度こそ舌を絡めては擦り合わせるような、濃厚な口づけ。

「ぁ、はる……、んっ……」

 温和(はるまさ)って声を掛けたいのにタイミングが掴めなくて、全然声が掛けられないでいる私を見下ろして、温和(はるまさ)が小さく笑う。

「俺も、お前と似たようなもん――」

 両手に恋人つなぎのように絡められている温和(はるまさ)の手を一生懸命ギュッて握ってから、ちょっと待って欲しいと必死に意思表示をしていた私に、温和(はるまさ)がつぶやくように言葉を落とす。

 温和(はるまさ)も……私と似たようなもの?

 一瞬彼の言葉の意味が分からなくて戸惑った私を見て、温和(はるまさ)が「自分が聞いてきたんだろーが」と溜め息を落とした。
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