オトメは温和に愛されたい
 温和(はるまさ)はキスをしながら、器用に片手だけで私のボタンをひとつずつ丁寧に外していく。

 その気配は確かに感じるのに、それに気を取られそうになるたびに、温和(はるまさ)の熱い舌で口中を刺激されて、あっという間に意識をそちらにさらわれてしまう。

 温和(はるまさ)のひんやりとした無骨な手が、胸元に直に触れてきたとき、私は全身がゾクリと粟立つのを感じた。

 温和(はるまさ)の前で私、何て恥ずかしい姿をさらしているんだろう。
 そう思うのに、手が自由にならなくて、おまけに彼に覆いかぶさられているからか、身体をひねることもできなくて。

 チュッと舌先を吸い上げ、下唇を掠《かす》めるようにして唇を離すと、温和(はるまさ)が肌蹴られて露わになった私の肌をじっと見つめてきて。

「は、恥ずかしい……っ。見ない、でっ」

 その視線に私は一生懸命身じろいで身体を隠そうとするんだけど無理で。

音芽(おとめ)、すごく綺麗だ」

 口を開けば私をバカにする言葉ばかりだった温和(はるまさ)なのに、何でそんなこと言うの?
 余計に恥ずかしくなるじゃないっ。

 そう思った途端、羞恥心で全身がカッと熱くなった。

「こうやって恥ずかしさで身体《はだ》が赤く染まるところとか、ゾクゾクするんだけど……」

 そう言って、温和(はるまさ)が私の胸元に顔を近づけてくる。

「やっ、ダメっ」

 温和(はるまさ)の吐息が鎖骨のあたりを掠めて、そんなことにさえも、身体が過剰反応してしまいそう。

 ブラ越しに胸の先端を軽く爪弾かれて、ビクッと身体が跳ねてしまって、すごく恥ずかしくなった。

温和(はるまさ)、おねがっ、もぉ……」

 もう服を着せさせて、と思うけれど、そんなの許してもらえるはずもなくて。

「もう、――何?」
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