オトメは温和に愛されたい
 そんな思いを胸に秘めて、潤んだ瞳で温和(はるまさ)を見上げたら、「音芽(おとめ)、お前、俺を煽りすぎだ」って吐息まじりに言われて、強引に唇を塞がれた。

 温和(はるまさ)に言われた通り、ほんの少し口を開いていたからか、すぐに彼の舌に口中を侵されてしまう。それが、涙目になってしまうぐらい心地よくて。

 気が付いたら、私は無意識のうちに温和(はるまさ)の胸に当てた手を、――その手指の下にある彼の小さな胸の突起を、意図的にギュッとこするように撫でさすっていた。
 私のその動きに温和(はるまさ)がビクッと身体を震わせたのがキスをしていても分かって……それがとても愛しくて……身体にさらに熱がこもってしまう。

「はぁ、――んっ」

 温和(はるまさ)の口付けにも、今まで以上に反応してしまう。

 温和(はるまさ)にもっと色んなところに触って欲しくて……もっともっと温和(はるまさ)に触れたくて。

 下腹部の辺りがギュッと切なく疼くのを感じた私は、その切なさに、モジモジと両腿をすり合わせた。

「音芽、一旦、身体起こせ」

 と、温和(はるまさ)が私の肩にそっと触れてそう言ってきて、私はトロンとした目でぼんやりと彼を見つめ返した。

「……はい」

 小さくうなずいて、温和(はるまさ)に肩を抱かれるようにして半身を起こすと、途端温和(はるまさ)が堪らないみたいにギュッと抱きしめてくる。
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