オトメは温和に愛されたい
 どうしたらこの恥ずかしさから逃れられるかを一生懸命考える。

 そうして結局、出来ないことは出来ないって素直に言うしかない、って思ったの。

「……あ、あのね、温和(はるまさ)。スカート……し、下は……恥ずかしくて、自分では……無理……。ど、どうしてもって言うなら、温和(はるまさ)が……」

 真っ赤になりながら一生懸命そう言ったら、温和(はるまさ)が小さく息を詰めたのが分かった。

 彼の細められた視線を、ドキドキしながら眺める。

「――俺が、何?」

 分かっているくせに。

 思うけれど、それをちゃんと言葉にして言わないと、恐らく温和(はるまさ)は動いてくれない。

 本当は自分で脱いだ方が、下着を濡らしてしまっていること、温和(はるまさ)に気づかれにくいって分かってる。
 でも私、何故かそういうところも含めて、こんな浅ましい私を彼に受け入れて欲しい、って思ってしまったの。

 承認欲求っていうの、かな?

 よく分からないけれど……もしかしたら私、温和(はるまさ)にもっともっと(はずかし)めて欲しいのかもしれない。

 異性とこういうことをするのは初めてのくせに、そんなことを思ってしまうのって……きっと凄くおかしいよね。

 でも……何でだろう。

 温和(はるまさ)を前にすると、私はそんな風になってしまうの。

 そう思ったら、心の片隅で、……カナ(にい)との血の繋がりを、ふと実感してしまった。
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