オトメは温和に愛されたい
 私がおねだりした途端、温和(はるまさ)が大きく息を吐いた。

「――バカ音芽(おとめ)っ。煽りすぎだ……」

 次の瞬間吐き捨てるようにそう言って、私の両腰骨のところに手をかけると、ショーツを一気に取り去られてしまう。

 温和(はるまさ)、ワンピースの時にはあんなにゆっくり焦らすように下ろしたのに、何でっ?

 脱がして欲しいとお願いはしてみたものの、こんなに性急に裸にされてしまうとは思っていなくて。

 私は思わず足をギュッと閉じて、身体を強張らせる。

「……音芽」

 温和(はるまさ)の、甘くかすれた声に恐る恐る彼を見返したら、熱に浮かされたような視線とかち合った。

「はる……、ッ」

 名前を呼ぼうと開いた口が、彼の柔らかな唇で塞がれる。

 一糸纏わぬ姿で温和(はるまさ)に口付けられているんだと思うと、恥ずかしくてたまらないのに下腹部がキュンと疼いて、切なくてたまらない。

「音芽、本当にいいんだな?」

 この()に及んでそんな。
 間近に顔を突きつけられて、真剣な目で見つめられたらうなずくしかない。
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