オトメは温和に愛されたい
音芽(おとめ)、少し馴らすぞ」

 温和(はるまさ)がそう言ったとき、私は彼が何のことを言っているのか分からなくて、羞恥心に潤んだ瞳でぼんやりと彼を見上げた。

 物心がついてからは、誰にも触れられたことも見られたこともない場所に温和(はるまさ)の手があって、さらにそこに触れた時の私の反応を、彼が注視しているのだと思うと、恥ずかしくてたまらなくて。

 なのに温和(はるまさ)にそこを見せるため、足を閉じてはいけない、という思いもあって――。

 恥じらいと、温和(はるまさ)への忠誠心との間でせめぎ合うのに精一杯で、告げられた言葉の真意を考えるゆとりなんて、私にはなくって。

「……んっ!」

 でもその声に耳を傾けるべきだったと、私は嫌というほど思い知らされる羽目になった。

「やっ、はる、まさっ、そんなっ、……あっ」

 思わず足をギュッと閉じたくなる、ピリッとした痛みと違和感。

 今まで谷間に沿って前後に動かされているだけだった温和(はるまさ)の指が、突如私の中に入ってきたのだと知った時には、本当に泣きたくなった。

「――力抜けっ、なか、傷つけちまう」

 温和(はるまさ)が指を押し進めながら、私の足の間に身体を滑り込ませて内腿(うちもも)を閉じられないようにして、言うの。

「そ、んなのっ、無理っ。温和(はるまさ)っ、お願っ、指、抜い……っ」

 下腹部にグッと力を入れて、内壁をこじ開けようとする温和(はるまさ)を追い出そうとするけれど、そんなの到底無理で。

「音芽。力入れたら余計痛いだろーが」

 温和(はるまさ)がそんなことを言ってくるけれど、だったら指、抜いてくれたらいいのよ。

 目尻に涙を溜めてイヤイヤをしたら、体内に入った彼の指がほんの少し引き抜かれて、それと同時にそのすぐ近くでツン、と張り詰めたままだった敏感な突起を擦られて。

「ひゃ、っ、あ」

 まるで充血したように()ちあがっていた秘芽は、ほんの少し触れられただけで信じられないような刺激をもたらす。
 そこから湧き上がる快感は、痛みを凌駕して下腹部を占拠して――。
 一旦は浅く引き抜かれていた温和(はるまさ)の指が、再度深く侵入した違和感さえも一気に押し流した。
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