オトメは温和に愛されたい
「ショック……ですよね」

 私の様子に気付いた逢地(おおち)先生が、気遣わしげな表情を向けてくださって……それがまた何だかチクッと胸を刺して。

鶴見(つるみ)先生もね、混乱してらしたんだと思うんです。意識が戻られてすぐ、何故か私に電話を掛けていらして……。正直びっくりしてしまいました」

 そこで何故か頬を染める逢地(おおち)先生を見て、昨日の怖かった体験を思い出してドキドキなさったのかな、と思う。

 お見舞いに駆けつけた折に鶴見先生に理由を聞いてみたら、彼も動転していらしたのかな。
 自分でもよく分からないけれど……もしかしたら携帯の連絡先リストの一番上にあったのが逢地(おおち)先生だったからかも?って、おっしゃったんだとか。

 それを聞いてすぐ、五十音順のトップバッターに来るようなア行のつく苗字でなくて良かった、と思った私は小心者だ。


 兎にも角にも、逢地(おおち)先生、養護教諭というお仕事柄か、怪我をなさったと聞いたら放って置けなくて……取るものもとりあえず、病院へ駆けつけられたらしい。

 ご家族が遠方にお住まいで、すぐには来られなかった――独り暮らしの――鶴見先生にとって、逢地(おおち)先生に連絡したことは結果オーライだったのかもしれない。
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