オトメは温和に愛されたい
 背中ぐらい流させてやる、と私を見下ろしてくる温和(はるまさ)の事、すごく怖いのに何故か見入ってしまう。
 流()()やる、じゃなくて流()()()やる……ってところが温和(はるまさ)らしくてゾクッとした。
 ブレないなぁ、温和(はるまさ)
 とか感心してる場合じゃなくてっ。

 さっき、服越しに見た温和(はるまさ)の身体も男らしくてかっこよかったけれど、やはり剥き出しのそれには到底敵わない。
 私は目のやり場に困ってしまう。

「あ、あのっ、温和(はるまさ)さん? 何をご冗談を」

 小学生になった辺りから私たち一緒にお風呂とか入ってないですよ?
 お忘れになられたんですか?

 あまりにパンチ力溢れるセリフに、思わず視線を逸らしながら敬語のオンパレードになってしまう。

 何となく身の危険を感じて、羽織ったバスタオルをギュッと握りしめたら、温和(はるまさ)に目を(すが)められた。
 美形に見下ろされるように睨まれるのって結構怖いっ。
 私は思わず(ひる)みそうになりながらも、必死に訴える。
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