オトメは温和に愛されたい
***

 などなど、昨夜寝るまでにあった事をつらつらと思い返してみたけれど、温和(はるまさ)は――溜め息こそ多かったけれど――別に今みたいに体調が悪そうではなかったと思う。

 せっかく早めに眠ったのに、こんなに憔悴して。

 全然疲れが取れてないとか……社会人失格だよ?

「ね、温和(はるまさ)。やっぱりベッドが狭くて……眠れなかったんでしょ?」

 昨夜は気を遣ってくれたのか「余裕あるな」とか言ってくれたけど、きっとそう。
 ふと思い立ってそう聞いてから、もしかしたらそれもあるけど枕が変わったらダメなタイプだったのかも?って思った。

 だって、――うちより少し大きめのベッドだったとはいえ――、先日は温和(はるまさ)、こんなことなかったもの。

「次にうちに来るときは枕持参していいからね?」

 温和(はるまさ)の頬にそっと触れながらそう言ったら、「鈍感って結構殺傷力高いんだな」ってしみじみつぶやかれて。

 意味はイマイチ分からなかったけれど絶対アレ。
 今の、悪口。

 プッと頬を膨らませて「どういう意味?」って聞こうとして、ハッとした。

 分かった!

 私、鈍いにも程があるじゃん!

 そりゃー、そんなこと気まずくて私に言えるわけないっ!
 温和(はるまさ)、気付かなくてごめんっ。
 私、貴方がいう通り鈍感だ!

 気づいた途端、色々恥ずかしくて顔から火が出そうになった。

「わ、私っ、寝相、悪かったのね!?」
< 214 / 433 >

この作品をシェア

pagetop