オトメは温和に愛されたい
「……もしもし」
言うと、一瞬沈黙があって、すぐさま盛大な溜め息とともに
『このバカ音芽! 先に帰っとけって言っただろ!? 俺、フラフラ出歩けって言った覚え微塵もねぇんだけど?』
って……温和こそバカじゃん。
『しかも三岳と一緒とか、マジ有り得ねぇだろ!』
とか……川越先生と2人きりだった温和に、そんなの言われる筋合いない。
さすがにムッとして、
「佳乃花も一緒だし……。それに私、ひとりぼっちの家に帰りたく……なかったんだもん」
絞り出すように不機嫌につぶやいたら、
『何で……』
って聞かれて。
私は温和の鈍感ぶりに情けなくて泣けてきた。
さっき、佳乃花の前で散々泣いて、涙なんて枯れ果てたと思ってたけど……お酒飲んだからまた補充されたのかな。
「温和が……川越セン、セとふたりきりで……いなく、なっちゃっ、たからじゃん……。そ、ンなこともっ分か、っない……っ?」
1人、何のフォローもされないままに取り残されてしまった私が、どんなに寂しくて不安だったか。
温和には分からなかったって言うの?
泣きじゃくりながらそう言ったら、明らかに電話口で温和が狼狽えたのが分かった。
それだけで、私は不安だった気持ちがしゅーっとしぼんでいくのを感じた。
言うと、一瞬沈黙があって、すぐさま盛大な溜め息とともに
『このバカ音芽! 先に帰っとけって言っただろ!? 俺、フラフラ出歩けって言った覚え微塵もねぇんだけど?』
って……温和こそバカじゃん。
『しかも三岳と一緒とか、マジ有り得ねぇだろ!』
とか……川越先生と2人きりだった温和に、そんなの言われる筋合いない。
さすがにムッとして、
「佳乃花も一緒だし……。それに私、ひとりぼっちの家に帰りたく……なかったんだもん」
絞り出すように不機嫌につぶやいたら、
『何で……』
って聞かれて。
私は温和の鈍感ぶりに情けなくて泣けてきた。
さっき、佳乃花の前で散々泣いて、涙なんて枯れ果てたと思ってたけど……お酒飲んだからまた補充されたのかな。
「温和が……川越セン、セとふたりきりで……いなく、なっちゃっ、たからじゃん……。そ、ンなこともっ分か、っない……っ?」
1人、何のフォローもされないままに取り残されてしまった私が、どんなに寂しくて不安だったか。
温和には分からなかったって言うの?
泣きじゃくりながらそう言ったら、明らかに電話口で温和が狼狽えたのが分かった。
それだけで、私は不安だった気持ちがしゅーっとしぼんでいくのを感じた。