オトメは温和に愛されたい
 着替えに夢中になっている間に、足の方の痛みは少し引いてきていて、何とか壁伝いなら歩いて行けそうな気がした。

 用意周到な温和(はるまさ)が、着替えと一緒に準備してくれていたビニール袋に濡れた服一式を入れると、脱衣所の扉を恐る恐る開ける。
 ビニール袋を片手に抱えて、もう一方の手で壁を支えながらリビングに向かってノソノソと――前進開始。


***


 リビングの扉を開けると、Tシャツとスウェットのズボン――多分私に上を貸してくれたものと(つい)のものだ――に着替えた温和(はるまさ)が、ソファに腰掛けて足を組んでいた。

 壁伝いにじりじりと歩いてくる私を見ると、無言で立ち上がって手を貸してくれる。

「あ、ありがとう」
 でもノーブラ、ノーパンの身としては出来るだけ距離を空けたいわけでっ。

 気持ち温和(はるまさ)から身体を離すようにしてぎこちなく彼の腕に掴まっていたら、「下着、上下とも取ったのか」とか、相変わらずズバッと聞いてきますね!?
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