オトメは温和に愛されたい
お前は付けるってことだな?
 一旦自室に戻って着替え諸々を済ませてから、温和(はるまさ)と一緒に出勤する。

 その車中で、
「あのね、温和(はるまさ)鶴見(つるみ)先生のお見舞いに……」
 一緒に行きたいな、って言おうと思ったら、温和(はるまさ)がその前にやらないといけないことがあるって言った。

「え?」

 何だろうと思って温和(はるまさ)をじっと見つめたら、「俺、さ……、今回色々あって思い知ったんだよ」とつぶやく。

 さっぱり話が見えなくて……でも温和(はるまさ)のことだから全く関係のない話はしないはず……。
 そう思って、彼が分かるところまで話してくれるのを根気強く待ったの。

鶴見(つるみ)がお前にアプローチかけたときにしても、喜多里(きたさと)が変なちょっかいかけてきた時にしても……俺が立ち位置を明確にしてないのがいけないんじゃないかと思ったんだ」

 温和(はるまさ)の立ち位置って何?

 キョトンとして彼をじっと見つめたら「だから……お前との関係のことだよ」と何故かムッとしたように言うの。

「私との……」

 温和(はるまさ)の言葉を復唱してから、私はハッとする。

 それって。つまり――。

 ドキドキと心臓が高鳴ったけれど、そこで温和(はるまさ)が考え込むみたいに黙り込んでしまって。

 結局それっきり会話にならなかったの。

 温和(はるまさ)、言いかけでストップとか……めっちゃ気になるよぅ。
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