オトメは温和に愛されたい
 そうして温和(はるまさ)の耳元で精一杯強がって見せるの。

「私は……よく分からない、です……」

 って。

 本当は彼とする何もかもが心地良くておかしくなってしまいそうな癖に、なんとなくそれを認めるのが悔しくて、たまにはこんな風に反抗してみたってバチは当たらないんじゃないかしら?って思ってしまった。

 温和(はるまさ)は私の言葉に一瞬きょとんとすると、フッと笑って私の鼻をギュッとつまんだ。

「今日はやけにひねくれ娘ですね、音芽(おとめ)さん」

 言われて、私はどっちが!って言いたくなったけれど、その言葉を飲み込んだ。

 いつも言われる「鈍感娘」や「バカ音芽」と、どっちがマシかしら。
 そんなことを思ってしまって。

「あ、あの……温和(はるまさ)。お風呂……」

 温和(はるまさ)にほんの少し触れられただけで下腹部が堪らなく疼いて、下着がふしだらに濡れてしまっている。

 それを隠したくて恐る恐る言ったら、「片付けもさせてやれねぇくらい切羽詰まってんのに、そんなの待てると思う?」って言われてしまう。

 ばかりか、手を取られて彼の中心に触れさせられて――。

 手の中でドクン、と脈打つ熱い塊に、
「ひゃっ」
 思わずビックリして手を引っ込めたら、「な? 待てとか無理っぽいだろ?」って耳元に吹き込まれた。

 私は自分同様、まだキスしかしていないのに、私より遥かに手だれなイメージの温和(はるまさ)が、そんな風になってしまっているのにただただ驚いて……。でも同時にすごく嬉しかったの。
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