オトメは温和に愛されたい
「さすがに寝てるお前を襲うわけにゃーいかねぇだろ。――だから」

 お風呂を溜めて、私の身体を綺麗にしてくれたらしい。

「あ、洗って……くれたって……こと?」

 恐る恐る聞いたら「ああ、隅々まで丁寧に、な?」って絶対意地悪で言ってるよね、温和(はるまさ)っ。

 どこまで本気か分からないけれど……自分でも、分かる。
 あんなにドロドロだった身体が、綺麗になってるの。
 確認していないから定かではないけれど、多分……下も……。

「ご、ごめ、なさっ」
 穴があったら入りたいですっ。

 温和(はるまさ)とのエッチが気持ち良すぎて気を失って……あまつさえそのまま寝こけてしまって彼に後処理までさせてしまうとかっ。

 一緒にお風呂、はもっとこう……色々手順を踏んで嬉し恥ずかし……な感じで経験したかったです。

「バーカ。手加減してやれなかったのは俺の不手際だろ。初心者が気にすることねぇんだよ。それに……風呂に関しても、俺は結構有意義な時間を過ごさせて貰ったと思ってるし、気にすることないんじゃね? むしろ俺的には色々見せてもらってご馳走さまでしたって礼が言いたいぐらいだし」

 って温和(はるまさ)さん、私の意識がない間に何をしたんですかっ?
 思わず不安になって、丸めた身体をそっと見たけれどコレと言った変化は感じられなかった。

 そんな私の様子に、頭上から温和(はるまさ)がククッと笑うのが聞こえてきて。からかわれたんだってハッとした。

温和(はるまさ)の意地悪っ!」

 プッと頬を膨らませてお湯に顔を半分沈めてブクブクしたら、

「次は……お前もちゃんと意識があるときに一緒に入り直そうな?」

 って頭をよしよしされた。

 私は温和(はるまさ)の優しさにほだされるように思わず「うん」ってうなずいてから「ま、またはないです!」とお湯をバシャバシャさせてから、心の中で1人赤面した。
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