オトメは温和に愛されたい
「……なんだよ、嫌なのか?」
温和が不機嫌そうにそう言ってきて、私は慌てて首を振る。
「いっ、嫌じゃ、ないっ!」
っていうかむしろ嬉しい。
嬉しいけど……。でも、でも、でもっ!
「あ、あまりにも突然だったから……その、驚いちゃって……」
水道の水を止めてタオルで手を拭いながら、しどろもどろでどうにかそう答えたら、「何だ、だったらサプライズは成功か」って……。
そうじゃないから!
温和の、バカっ。
ちっとも乙女心が分かってない!
そんな風に一人頭の中でプンスカしてから「オトメ心とか……」って思わず苦笑してしまう。
そう言えば小学生くらいの頃からずっと、温和に「オトメのくせに乙女らしくない」って揶揄われ続けてたっけ。
それに私が「温和だって、“温和”って書くくせに全然そんなじゃない!」って応えるのがセットで。
でも……考えてみたらもっともっと幼い頃には温和、「音芽は世界一可愛い女の子だ」って言ってくれてたんだよね。
同様に私は優しくて穏やかで温かい温和の名前には、“温和”って字がピッタリだって思ってた。
あの優しかった子供の頃に温和、私のこと、お嫁さんにしてくれるって約束してくれて。
何度か花で作った指輪をもらったこともあったっけ。
最近は温和、「オトメのくせに音芽《乙女》らしくない」って言わなくなったなぁ。
そればかりか、まるで幼い頃に戻ったみたいに「可愛い」って言ってくれることが増えた気がする。
温和が不機嫌そうにそう言ってきて、私は慌てて首を振る。
「いっ、嫌じゃ、ないっ!」
っていうかむしろ嬉しい。
嬉しいけど……。でも、でも、でもっ!
「あ、あまりにも突然だったから……その、驚いちゃって……」
水道の水を止めてタオルで手を拭いながら、しどろもどろでどうにかそう答えたら、「何だ、だったらサプライズは成功か」って……。
そうじゃないから!
温和の、バカっ。
ちっとも乙女心が分かってない!
そんな風に一人頭の中でプンスカしてから「オトメ心とか……」って思わず苦笑してしまう。
そう言えば小学生くらいの頃からずっと、温和に「オトメのくせに乙女らしくない」って揶揄われ続けてたっけ。
それに私が「温和だって、“温和”って書くくせに全然そんなじゃない!」って応えるのがセットで。
でも……考えてみたらもっともっと幼い頃には温和、「音芽は世界一可愛い女の子だ」って言ってくれてたんだよね。
同様に私は優しくて穏やかで温かい温和の名前には、“温和”って字がピッタリだって思ってた。
あの優しかった子供の頃に温和、私のこと、お嫁さんにしてくれるって約束してくれて。
何度か花で作った指輪をもらったこともあったっけ。
最近は温和、「オトメのくせに音芽《乙女》らしくない」って言わなくなったなぁ。
そればかりか、まるで幼い頃に戻ったみたいに「可愛い」って言ってくれることが増えた気がする。