オトメは温和に愛されたい
――佳乃花、いま、大丈夫?
幼なじみの朝日佳乃花にメッセージアプリで打診してみると、すぐさま既読がついて「OK」という、可愛いキャラクター入りのスタンプが返ってくる。
いつもならそのまま文字でのやりとりにするところだけど、今日は何となく声を聞きたいって思ってしまった。
電話してすぐ、先ほど温和から受けた仕打ちを話してから、「酷いと思わない?」と言うと、それまで適度に相槌を打ってくれていた佳乃花が、急に沈黙した。
「ねぇ、佳乃花、聞こえてる?」
『聞こえてるし、ちゃんと聞いてるよ』
沈黙が長いので不安になって問いかけたら、聞いてくれてはいるみたい。
『――それ、さ……』
少し間を置いて、佳乃花が言う。
『……霧島先輩も、音芽のこと好きなんじゃない?』
え? 散々待たせた挙げ句、その結論!?
「はっ!? ないないっ! だって……考えてみてよ、佳乃花。一路はそんな酷いこと、貴女にしないでしょ?」
同じく同級生で腐れ縁の三岳一路の名を出すと、佳乃花が電話口で声を詰まらせたのが分かった。
二人は小学生の頃からずっと両思いで……二十歳過ぎてやっと付き合い始めた恋人同士だ。
一路が佳乃花を溺愛して甘やかしまくりなのは傍目にも明らかで……。正直同じように小さい頃から一人の相手を想い続けている身としては、かなりうらやましい。
『――いっ、一路はドSじゃないからっ』
自分で分かっているつもりでも、好きな男性を他者からドS認定されるのは、結構堪えるものですね。
思わず、
「は、温和だって……昔は一路みたいに優しかったよ」
とか言い訳じみたことを言って彼のことを庇ってしまってから、ハッとした。――何言ってるの私、変なの。
幼なじみの朝日佳乃花にメッセージアプリで打診してみると、すぐさま既読がついて「OK」という、可愛いキャラクター入りのスタンプが返ってくる。
いつもならそのまま文字でのやりとりにするところだけど、今日は何となく声を聞きたいって思ってしまった。
電話してすぐ、先ほど温和から受けた仕打ちを話してから、「酷いと思わない?」と言うと、それまで適度に相槌を打ってくれていた佳乃花が、急に沈黙した。
「ねぇ、佳乃花、聞こえてる?」
『聞こえてるし、ちゃんと聞いてるよ』
沈黙が長いので不安になって問いかけたら、聞いてくれてはいるみたい。
『――それ、さ……』
少し間を置いて、佳乃花が言う。
『……霧島先輩も、音芽のこと好きなんじゃない?』
え? 散々待たせた挙げ句、その結論!?
「はっ!? ないないっ! だって……考えてみてよ、佳乃花。一路はそんな酷いこと、貴女にしないでしょ?」
同じく同級生で腐れ縁の三岳一路の名を出すと、佳乃花が電話口で声を詰まらせたのが分かった。
二人は小学生の頃からずっと両思いで……二十歳過ぎてやっと付き合い始めた恋人同士だ。
一路が佳乃花を溺愛して甘やかしまくりなのは傍目にも明らかで……。正直同じように小さい頃から一人の相手を想い続けている身としては、かなりうらやましい。
『――いっ、一路はドSじゃないからっ』
自分で分かっているつもりでも、好きな男性を他者からドS認定されるのは、結構堪えるものですね。
思わず、
「は、温和だって……昔は一路みたいに優しかったよ」
とか言い訳じみたことを言って彼のことを庇ってしまってから、ハッとした。――何言ってるの私、変なの。