オトメは温和に愛されたい
 私の提案にやっと温和(はるまさ)がゆっくりと頭を押さえるようにしていた手を緩めてくれて。

「もしかして……苦しかったか?」

 心配そうに聞いてくるのへ、首を振る。

 いつかみたいに真っ正面から顔を温和(はるまさ)の胸元に押さえつけられていたわけじゃない。ほんの少しかわせていたから息苦しくはなかった。

 でも。

温和(はるまさ)の顔見て話したかったの」

 言ったら「ばっ、バカ。俺はっ見られたくねぇんだよ」って真っ赤になる。

 そんな温和(はるまさ)が愛しくてたまらないって言ったら怒るかな?

温和(はるまさ)、大好き」

 温和(はるまさ)の方を見上げてそう言ったら、ますます赤くなるの。

 でも、そっぽを向いたままちゃんと「俺も……お前が――」
 そこまで言ってハッとしたように「音芽(おとめ)が」って言い直してくれたの、すごくすごく嬉しい。

 なのに――。
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