オトメは温和に愛されたい
()()……お前にこれは俺のもんだって印、つけときてぇんだよ」
 俺が、のところに力を込めるように言って、「いちいち皆まで言わせるな」とそっぽを向く温和(はるまさ)が、凄く可愛くてキュンとする。

「私も……温和(はるまさ)に印……つけてもいいって……こと……?」

 約束したのは“婚約指輪”じゃなくて、温和(はるまさ)(ペア)になる、“結婚指輪”――。

 布団に半分埋もれたまま恐る恐る聞いたら「()()()()()つけられてやっても構わねぇよ」ってボソッと言うの……。それって、私は貴方にとって特別だよって言ってくれてるのと一緒だよね?

 思わず嬉しくなって布団に潜り込んでクスクス笑っていたら、いきなりバッと布地を剥ぎ取られてしまった。

「きゃっ!」
 私、真っ裸なのに……。
 恥ずかしいっ!
 ギュッと丸くなって身体を隠したら、「いつまで経っても動こうとしねぇからだ」ってフッと笑い声がして、丸めた背中を背骨に沿って指の腹でスッとなぞられた。

「ぁんっ、やめっ」
 温和(はるまさ)に、存分に(しつ)けられた身体は、ほんの少し彼に触れられただけでいやらしく反応してしまう。
 もう、疲れ切ってあちこち()を上げていると言うのに、恥ずかしいぐらい敏感に反応する自分が恨めしい。

「エロい声出すなよ音芽(おとめ)。また()()()なんだろ」
 かがみ込むようにして耳元にそんな声を吹き込まれて、私は思わず「も、ダメっ!」って首を振った。

 これ以上したら本当に私、立ち上がれなくなっちゃう。
 涙目で温和(はるまさ)を見上げたら「バーカ。冗談だよ」ってニヤリとされた。
 冗談に聞こえないから怖いんじゃないっ。
 そう思ったけど藪蛇になりそうで飲み込んだ。

「ほら、さっさとシャワー行ってこい」
 言われて、身体にバスタオルをかけられる。
 私はそろそろとそれにくるまると、ほんの少しよろけそうになる足を踏ん張りながら、お風呂場へ向かった。

 シャワー浴びたら足、シャキッとするかな。
 そんなことを思いながら。
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