オトメは温和に愛されたい
「――なぁ、音芽(おとめ)。そんなところで居眠りしてたら風邪ひくぞ？」

　温和(はるまさ)に声をかけられて、ハッとして目覚める。

「ごめんなさい、私……」

　言ったら「まぁ、無理させすぎたからな。少し休むか？」って聞かれて。
　私、「そうだ」って思って恐る恐る温和(はるまさ)に言ったの。
「家に帰って寝てもいいかな？」
　って。
　温和(はるまさ)と一緒にいたら、今夜も眠れない気がするんだもの。

　さすがにそれは言わなかったけれど、言わなくても分かるよね？

　窺(うかが)うように彼の顔を見たら、小さく吐息をつかれた。

「ま、仕方ないか。今夜は(・)解放してやるよ」

　言って、私の頭をそっと撫でてくれる。

　良かった。今夜はぐっすり眠れそう……。
　そう思ったけれど、温和(はるまさ)が告げた言葉に少し引っ掛かりを覚えて、「ん？」と思う。今夜は？

「明日は午後イチで俺とお前の実家行くからな。ゆっくり身体休めとけ」
　さらりと付け加えられて、思わず「え！？」って声が出てしまっていた。

「ん？　聞こえなかったか？　実家。俺とお前の！」

　温和(はるまさ)がニヤリとして、「さっき電話したらどっちも予定空けといてくれるってさ」って……、嘘！
　あの、「ちょっと電話してくるな」はそれだったの！？

「温和(はるまさ)……？」
　ソワソワしながら彼を見つめたら、「あ、安心しろ。奏芽(かなめ)も帰って来るからな」って。

　ラストにおまけみたいに最大級の爆弾をありがとうございます！
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