オトメは温和に愛されたい
それでも朝はやってくる
 家から職場――私立の小学校――まではアパートから徒歩十分圏内。

 昨日転んで負った怪我は、温和(はるまさ)が綺麗に洗ってくれたのが良かったのか、今のところ化膿などしそうには見えなくて。
 ただ、転んだ際に結構強く膝を地面に打ち付けたみたいで、傷口の痛みとは違った鈍痛が、歩くたびに膝に走った。
 心持ち、膝が腫れて熱を帯びている気もする。
「うー、これは歩くの結構しんどいかも」
 というより、子供たちと接するときに不自由かも。

 私の受け持ちは二年二組。
 一年生ほど園児に近くはないけれど、やっぱりまだまだ低学年。
 甘えたい盛りの子供たちだから、日々抱きつかれたり負ぶさってきたりされていて。

 今日はそれがしんどいかもしれない。

 体育の授業は、二年一組――温和(はるまさ)の受け持ちのクラス――と合同だからそこは彼に頼れるとして……。

 いつもの調子でそこまで考えてから、私の頭はトリ頭ですか!?とハッとする。

 イーヤーだぁー。

 授業(仕事)とはいえ温和(はるまさ)と四十五分間も一緒にいなきゃいけないとか、苦行ですか!?

 いやそれ以前として――。
 職員室でも席、隣り合わせでした……。
 児童らがいるときは殆どの時間を教室で過ごすからいいとして……問題は朝礼の時と放課後……かな。
 二年生の学年主任の温和(はるまさ)と、同学年を受け持っている以上、連絡を取り合わないわけにはいかないわけでっ。

(あーん、いっそ休んでしまいたいっ)

 とか現実逃避なことを思ったけれど、可愛い子供たちの顔を思い出すと、そういうわけにもいかず。
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