オトメは温和に愛されたい
メッセージ
 指輪が出来たと連絡が入って、温和(はるまさ)と2人、終業後にすぐ受け取りに行った。

 お互いに相手が自分の指輪に何と言うメッセージを刻印してくれたのかまだ知らないの。

 行きがけの車中で温和(はるまさ)に「何て入れてくれたの?」って聞いたら、「忘れた」って。
 頭のいい温和(はるまさ)に限ってそんなことあるわけない。――意地悪。

「そういうお前は何て入れたんだよ?」
 温和(はるまさ)が私の指に嵌まる例のクローバーリングを撫でながら聞いてくる。

「わ、忘れちゃった」

 私は温和(はるまさ)を真似てそう言ってから、ベッと舌を出してそっぽを向いた。

音芽(おとめ)、俺に意地悪したらどうなるか忘れたの?」
 なのに温和(はるまさ)ってば大人気ない。
 自分だって同じことをしたくせに、私にはそういうこと言うのね。

 でも彼ならやりかねない。
 ソワソワとした目で温和(はるまさ)を見つめたら、ククッと笑われて、
「ま、指輪受け取ったら分かることか。それまでのお楽しみってことで許してやるよ」
 私の手をギュッと掴んで彼が言う。

「お仕置きは……しない?」
 恐る恐る聞いたら「お望みならするけど?」って……。
 私は慌てて首をブンブン振った。
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