オトメは温和に愛されたい
 それでも、カラードレスを試着した私の横に変わらない衣装のまま立つ温和(はるまさ)を見て、思わず「温和(はるまさ)は違うのにしないの?」って聞いたら、「俺が着替えるぐらいならお前にもう1着選ぶ」とか。

 温和(はるまさ)ならやりかねないって思って、私、慌てて口を閉ざしたの。

 でも、本音言うと私、大好きな温和(はるまさ)のファッションショーも見たかったんだよ?

***

 そういえば挙式では外したけれど、写真の前撮りではふたりで和装の写真も撮りました。

 白無垢(しろむく)綿帽子(わたぼうし)の私の横に、黒五つ紋付(もんつ)羽織袴(はおりはかま)姿の温和(はるまさ)が立って……。

 はっきり言って、見慣れた洋装より和装のほうがくらくらするぐらいかっこよかったです。

 何だかそんな温和(はるまさ)をみんなに見せびらかしたいって思うのと同時に、やっぱり他の人には見せたくないって思ってしまったというか。

「ねぇ温和(はるまさ)、やっぱり和装は……」
 やめておこう?って言おうとしたら、「コレは式ではなしにしよう」って温和(はるまさ)が物凄くソワソワした様子で言ってきて。
 その顔が微かに赤らんでいるのを見て、もしかして温和(はるまさ)も同じ気持ち?って思ってしまったの。

 私たち、どちらも相手に負けず劣らず独占欲が強いみたいです。
< 394 / 433 >

この作品をシェア

pagetop