オトメは温和に愛されたい
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 チャペルでの挙式ではあったけれど、温和(はるまさ)と話し合って、結婚式は神前式の形でなく、人前式の形式を取った。

 温和(はるまさ)も私も、常日頃から信心深い方ではないから。
 神様に永遠の愛を誓うより、大事な人たちに「2人で幸せになります」って宣言するほうが、自分たちの性に合っている気がしたの。

 式の日までに温和(はるまさ)と一緒に予め作っておいた誓約書を、列席してくださった皆様の方を向いて2人で読み上げる。

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『誓いの言葉』

私たちふたりは 皆様の前で結婚式を挙げられることを感謝いたします

ここに結婚の誓いをいたします

1、お互いの両親を大切にします

1、相手を思いやる気持ちを忘れません

1、笑顔の絶えない家庭を築きます

1、喧嘩してもその日のうちに仲直りをします

1、なるべく、月に1度は2人で過ごす時間を作ります

今日の誓いを心に刻み、力を合わせていくことをここに誓います

           20**年8月8日

     夫 霧島(きりしま)温和(はるまさ)
     妻 音芽(おとめ)

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 ベタだなって思ったけれど……。
 最後の誓いは子供が産まれたら果たせないかもしれないけれど……。
 もしそうなったとしても、せめて年に1度――結婚記念日だけは、恋人みたいにお互いを見つめられる時間を大切に出来る夫婦であり続けたい。

 そういえばっ!

 これとは別に温和(はるまさ)から私に、「浮気は絶対しないこと。俺以外の男になびかないこと」という追加要求が下って、「誓います」って告げさせられたあと、私も急遽「私のために無駄使いをしないこと」という誓約を切り返すハプニングがあった。

 来賓(らいひん)の皆さんはそれも元々組み込まれていた演出だと思ってくださったみたいで、和やかな雰囲気の中、笑い声に包まれたけれど、私は内心めちゃくちゃ冷や冷やしました。

 温和(はるまさ)ぁーっ!って心の中で拳を握ったのはここだけの話。
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