オトメは温和に愛されたい
「――ご、ごめんなさいっ」
言って、扉を開けたと同時に温和が不機嫌そうに「お前な、呼んだんなら外出て待っとくとか出来ねぇのかよ」と至極ごもっともな不平を口にしてきて。
『おい、音芽ぇーっ! お前聞いてんのか、こらっ!』
手にしたスマホからは段々大きくなってくるカナ兄の声。
「ごめん、カナ兄ホント私……いそが――」
忙しいから……と言おうとしたら、不意に伸びてきた温和の手に、電話を奪われた。
「奏芽、お前、掛けてくんの遅ぇんだよ。もうこっちで処理したから昨日のことは忘れろ。じゃあな」
何だかよくわからないけれど、温和が一方的に何か言って、電話を切ってしまった。
昨日のことってなんだろう? 温和、奏芽と何か話したの? カナ兄からの電話はその絡み?
「あ、あの、温和、今のって――」
差し出されたスマホを受け取りながら、「なんだったの?」と聞こうとしたけれど、「行くぞ」と取り付く島もなくて。
玄関先に準備してあった荷物を、私が持つより先に手に取ると、温和が私の方を振り返って「鍵、ちゃんとかけろよ」と睨んでくる。
な、なんで睨むの……。
まるでこれ以上聞いてくるなって牽制されているみたい。
言って、扉を開けたと同時に温和が不機嫌そうに「お前な、呼んだんなら外出て待っとくとか出来ねぇのかよ」と至極ごもっともな不平を口にしてきて。
『おい、音芽ぇーっ! お前聞いてんのか、こらっ!』
手にしたスマホからは段々大きくなってくるカナ兄の声。
「ごめん、カナ兄ホント私……いそが――」
忙しいから……と言おうとしたら、不意に伸びてきた温和の手に、電話を奪われた。
「奏芽、お前、掛けてくんの遅ぇんだよ。もうこっちで処理したから昨日のことは忘れろ。じゃあな」
何だかよくわからないけれど、温和が一方的に何か言って、電話を切ってしまった。
昨日のことってなんだろう? 温和、奏芽と何か話したの? カナ兄からの電話はその絡み?
「あ、あの、温和、今のって――」
差し出されたスマホを受け取りながら、「なんだったの?」と聞こうとしたけれど、「行くぞ」と取り付く島もなくて。
玄関先に準備してあった荷物を、私が持つより先に手に取ると、温和が私の方を振り返って「鍵、ちゃんとかけろよ」と睨んでくる。
な、なんで睨むの……。
まるでこれ以上聞いてくるなって牽制されているみたい。