オトメは温和に愛されたい
***

 温和(はるまさ)の前にかがみ込んで、さっき、彼の手にしたみたいに硬く張り詰めたものを両手でそっと包み込む。

 そうして手にしたものの先端に、恐る恐る口付けを落とす。

 先にじんわりと滲んでいるのは温和(はるまさ)の?

 男性も、気持ちいいと濡れる(そうなる)のだと、教えてくれたのは温和(はるまさ)自身だった。

 少し塩辛い味のするそれを丁寧に舐めとってから、大きく口を開けて先の部分をくわえてみる。

 そのままほんの少し喉の奥に誘うように口の中に飲み込んでいく。

 苦しい……。

 口に迎え入れた途端、脈打つようにそれが一際硬度を増して。
 怒張した温和(はるまさ)(たかぶ)りは、私が口を目一杯開けても口中をいっぱいいっぱいに満たしてしまう。

 温和(はるまさ)は私が彼のものに苦戦しているのを、自身も堪らないみたいに小さく吐息を漏らしながら、優しく頭を撫でてくれる。
 時折頭に添えられた手にグッと力が込められて、喉の奥に彼が当たって。

「んんっ」
 息が、詰まる。

 苦しくて喉の奥から何とかくぐもった声を出したら、「音芽(おとめ)、すげぇ……気持ちいい」って温和(はるまさ)がうっとりしたようにつぶやいた。

 私はその瞬間、泣きそうになるぐらい苦しいのも忘れて、幸福感に満たされる。
< 418 / 433 >

この作品をシェア

pagetop