オトメは温和に愛されたい
 一生懸命喉の奥から絞り出すように声を出して訴えたら、温和(はるまさ)が吐息を漏らすように言った。

「もう、挿入(いれ)て……いい?」
 って。

 私は動かせない頭で一生懸命うなずく。

 と、ズルリと口の中から温和(はるまさ)が抜き取られて――。

 私は自由になった唇を必死に喘がせる。

「……はる、ま、……さっ、私、もう……」
「ああ、俺も……限界」

 温和(はるまさ)は私を仰向けに寝かせると、膝をギュッと折り曲げさせて、秘部(いりぐち)に自身をそっと当てがう。
 そうして、まるでそこをこじ開ける感触を味わうみたいに、ゆっくりと私の中に侵入(はい)ってきた。

「あぁ、っ……ん、は、るま、さぁ……!」

 何度経験しても、彼のものを受け入れるこの瞬間、私は身体を()り開かれるようで苦しいと感じてしまう。

 でもその苦しさが、逆に温和(はるまさ)の存在を実感させてくれるようで心地よくもあって。

 それに――。

 温和(はるまさ)、今、何も着けていないんだよ、ね?

 いつもなら挿入前に必ずつけていた避妊具を、今日の温和(はるまさ)は着けていない。

 そう思ったら胸がキュンとして、思わず涙がこぼれ落ちた。

「っ、音芽(おとめ)!? もしかして……痛いっ!?」

 途端いつもよりほぐし方が足りなかったのではないかと狼狽(ろうばい)して、温和(はるまさ)の腰が引けそうになった。それを慌てて引き止めて、私はゆるゆると首を振る。
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