オトメは温和に愛されたい
「違、うの、温和(はるまさ)。……私たち、やっと……本当の夫婦になれた、んだなって思って。……うれしかった、だけ、なの。だから……お願い。抜かない、で?」

 温和(はるまさ)と何の隔たりもなく繋がれたことがこんなにも幸せな気持ちになれるなんて思いもしなかった。

「バカ音芽(おとめ)……。抜くなとか言うなよ、恥ずかしい……」

 温和(はるまさ)が照れを隠すようにそうつぶやいて、私は自分の大胆発言に真っ赤になる。

 と、その反応に安心したみたいに、温和(はるまさ)が「動くぞ」って宣言した。

 それに小さくうなずいたら、温和(はるまさ)にギュッと抱きしめられた。

「音芽、愛してる」

 言葉とともに口付けられて、クチュクチュという濡れた音が、ふたりの絡まり合う舌のせいなのか、下腹部からのものなのか、分からなくなる。


***


 温和(はるまさ)が私の中で()った瞬間の、何ともいえない幸福感を、私は多分、一生忘れないと思います。

 温和(はるまさ)の精を受け入れても誰にも何も気兼ねしなくていい。

 それだけのことが、何て幸せで貴いんだろう、って思ったの。

 私は温和(はるまさ)が私の中から抜け出した後、その余韻に浸るみたいにギュッと入り口を閉めて、温和(はるまさ)からの愛が外にこぼれ落ちないように頑張ったの。

 赤ちゃん。
 この一回では無理だとしても……いつかきっと。
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