オトメは温和に愛されたい
数メートル先の用具入れになっているプレハブ倉庫前。建物の陰になるように立っているのは、逢地先生と……、温和?
ねぇ、温和、何で逢地先生のあごに手をかけて、顔、覗き込んでる……の?
まるでキスする寸前みたい、だ、よ――?
私は膝の痛みからだけではない足の震えに、その場にへたり込みそうになる。
そんな私の腕を鶴見先生がグッと引き上げてくださって、辛うじて何とか立てている、……けれど。
正直今すぐにでもここから立ち去りたいっ。
私と鶴見先生に気がついた温和が、逢地先生に何か囁いてそっと自分の身体から引き剥がすようにして離れるのが視界の端に見えた。
温和が逢地先生を残してこちらに歩いて来る。それに気がついた私は、慌てて鶴見先生の腕を引っ張った。
「かっ、帰りましょうっ、鶴見先生っ」
急かしているのにボォーッと突っ立ったままの鶴見先生に焦ったくなった私は、彼の腕を離して下駄箱にしがみつくと、内履きを蹴飛ばすようにして脱ぎ散らかした。
それを揃えて下駄箱内の外履きと取り替えようと手を伸ばしたところで身体がよろめいて。
「危ないっ」
気がつくと、声と一緒に横から伸びて来た鶴見先生の腕を、身体で押しのけるように割り込んできた温和に、しっかりと抱き留められていた。
「鳥飼先生。俺、今日は不用意に歩き回ったりせず、安静にしてるようにって言いませんでしたか?」
すぐさま、低音ボイスで咎めるように問いかけられたけど、私はそんな温和の顔を見ることが出来なかった。
ねぇ、温和、何で逢地先生のあごに手をかけて、顔、覗き込んでる……の?
まるでキスする寸前みたい、だ、よ――?
私は膝の痛みからだけではない足の震えに、その場にへたり込みそうになる。
そんな私の腕を鶴見先生がグッと引き上げてくださって、辛うじて何とか立てている、……けれど。
正直今すぐにでもここから立ち去りたいっ。
私と鶴見先生に気がついた温和が、逢地先生に何か囁いてそっと自分の身体から引き剥がすようにして離れるのが視界の端に見えた。
温和が逢地先生を残してこちらに歩いて来る。それに気がついた私は、慌てて鶴見先生の腕を引っ張った。
「かっ、帰りましょうっ、鶴見先生っ」
急かしているのにボォーッと突っ立ったままの鶴見先生に焦ったくなった私は、彼の腕を離して下駄箱にしがみつくと、内履きを蹴飛ばすようにして脱ぎ散らかした。
それを揃えて下駄箱内の外履きと取り替えようと手を伸ばしたところで身体がよろめいて。
「危ないっ」
気がつくと、声と一緒に横から伸びて来た鶴見先生の腕を、身体で押しのけるように割り込んできた温和に、しっかりと抱き留められていた。
「鳥飼先生。俺、今日は不用意に歩き回ったりせず、安静にしてるようにって言いませんでしたか?」
すぐさま、低音ボイスで咎めるように問いかけられたけど、私はそんな温和の顔を見ることが出来なかった。