オトメは温和に愛されたい
「それ、お互い様じゃんっ!」

 顎にかけられた手を振り解いて、温和(はるまさ)を睨みつける。

 目、逸らしてなんてやるもんか。

「は? 何で俺がお前に苛つかれなきゃなんねぇんだよ? おかしいだろ」

 あー、もう本当! 分からないんならいいです!
 っていうか分からないってことは、温和(はるまさ)が私のことを女性として意識してないって証拠だと思うし。

「やっぱり温和(はるまさ)は私のこと、妹ぐらいにしか思ってないんだよ」

 余りにも腹立たしくて……私はそれが今、最大の地雷になる発言だということをすっかり失念してしまっていた。

「――俺がいつお前を妹扱いした?」

 温和(はるまさ)の声のトーンが、ひとつ下がった気がして、私は思わずひるみそうになる。

 でも、負けてたまるかっ。

 私はグッと拳を握りしめると、温和(はるまさ)を睨みつける。

「さっきだって鶴見(つるみ)先生に私のこと、妹って言ってたよ? 忘れたの?」

 途端、温和(はるまさ)にベッドに押し倒されて……私は驚いて彼を見上げた。
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