オトメは温和に愛されたい
 真っ赤な顔をして泣きそうになりながら温和(はるまさ)を見上げたら――。

「お、お前……今日、ブラは……」

 って瞠目して動きを止める、とか酷すぎませんか、温和(はるまさ)さんっ!

「ど、どうせおっぱい見えても色気の欠片(かけら)もないって言いたいんでしょ!? も、いい加減悪ふざけはやめて、手、離してっ!」

 私、一刻も早く胸を隠したいっ!

 小さい頃にツルツルぺったんこなのは温和(はるまさ)にもカナ(にい)にも何度も見られてるけど……さすがに膨らんできてからは見せたことないのっ!

 温和(はるまさ)だってブラなし剥き出しおっぱいは誤算だったんでしょう?

 すごくすごく恥ずかしいんだって分かってよぅ……。

 一生懸命羞恥心に耐えながら訴えたら、「ああ、ホント色気ねぇな……」と低く(かす)れた声で言われて。

 言葉とは裏腹。聞いたことのないような切なげな声音に驚いて、「え?」とつぶやいたら、その声ごと封じるみたいに、唇を塞がれて……。大きくて骨張った手で胸を鷲掴(わしづか)まれた――。

 そこまでしても、どうせまた「ザマァ見ろ」とか言う気でしょ?

 ね? 温和(はるまさ)
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