オトメは温和に愛されたい
「隠し事なんて、してなっ……。そんなの言う、んだったら……は、るまさ……だって……っ!」

 私は涙目になりながら温和(はるまさ)を見つめる。

「放、課後……おお、ちセンセと……何、してた、のっ?」

 私の言葉に、温和(はるまさ)が動きを止めて、じっと私を見つめてきた。

「私ばっか、り……責められ、る……の、おかし……、よ」

 そう言ったら、温和(はるまさ)が一瞬驚いた顔をして、そのあとフッと笑って。

 必死にモヤモヤしていたことを、ぶちまけたのに……何で、笑うの?
 思った途端、頑張って堪えていた涙がポロッと流れて、自分で自分が情けなくなる。

「バカ音芽(おとめ)。お前なんか、ずっと俺のことで悩んでいればいい」

 そう言われて、胸の(いただき)にチュッと吸いつかれた私は、初めての感覚に、思わずギュッと目をつぶった。

「や、ぁ……っ」

 敏感な突起を吸い上げるように唇で挟まれて引っ張られたあと、不意に解放されて、胸が切なく熱を帯びてふるりと揺れる。

 温和(はるまさ)は私の胸の膨らみに、双方数カ所ずつ赤い鬱血のあとを色濃く残した。

 温和(はるまさ)が私の反応を確認するようにそれを付けるたび、皮膚がピリリと刺すように痛くて……。

「――っ、んんっ」

 私は息を詰めて必死で声を押し殺した。

温和(はるまさ)っ、何でこんなっ」

 ややして、温和(はるまさ)が私の胸から顔を上げた時、戸惑いながらそう尋ねたら、「お前が……俺に隠し事をするからに決まってんだろ」と返ってきて。

 幼い頃から、カナ(にい)にも言えないこと、温和(はるまさ)にだけは話してきたから? 隠し事なんてしたこと、なかったから?

 だから……そんなに怒ってる、の?
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