オトメは温和に愛されたい
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 とうとう鶴見(つるみ)先生との約束の日――日曜日――になってしまった。

 今週は金曜に参観日があって、その準備に追われて学校全体がどこかソワソワと浮き足立っていた。
 そのお陰で鶴見先生に変に絡まれることも、温和(はるまさ)逢地(おおち)先生のことを気にするゆとりもなくて。

 二年部の担任三人で頭を突き合わせて該当学年に割り当てられた掲示スペースを何で埋めるか、を悩んだ時ぐらいかなぁ。

 三人で作業したの。

 参観日が近くなると、学校内に子供たちの作品や写真などの展示物が多くなるのはうちの学校だけじゃないと思う。
 せっかく学校に来ていただくのだから、少しでも親御さんたちに楽しんでいただきたいと思うのは、どこの学校においても、教職員一同の共通する思いだろう。

 二年部は子供たちが描いた絵を、ズラリと階段の踊り場の掲示スペースに展示した。
 絵の具で思い思いに描かれた子供たちの絵は、色鮮やかでとても生命力に満ち溢れていて。
 同じテーマで絵を描かせても、こんなにも個性あふれる仕上がりになるんだと思うと感慨深かったりする。

 掲示もさることながら、数日悩まされた足の痛みがひいてくれたのを幸いと、私は学校内をいつも以上にあちこち走り回って慌ただしく過ごしていたように思う。
 それは、各々に受け持ちクラスのある温和(はるまさ)や鶴見先生にしても一緒で。

 毎晩二十二時過ぎにLINEで、「いつも遅くにすみません」と前置きを入れつつ、鶴見先生から他愛もないメッセージが届くことを除けば、終業後の私の日々は、ほぼ変わりなく過ぎていったと思う。

 正直、毎日のようにメッセが届くのに、鶴見先生が温和(はるまさ)と私のことについて一切触れてこないのが、逆に気にしているように思えて落ち着かない。けれど、聞かれたらどう答えるの?と考えたら途端答えに(きゅう)してしまうのも事実で。
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