オトメは温和に愛されたい
私の真ん前に停車すると、こちら側――助手席側――の窓が開いて、鶴見先生が私の方へ身を乗り出すようにして声をかけてきた。
「おはようございます、音芽さん。鍵、かかってないので開けて乗り込んでもらってもいいですか?」
言われて、私は「あ、はい」と答えてモタモタとドアに手を伸ばす。
セルフで助手席に乗り込みながら、温和だったら一旦降りてきてドア、開けてくれるんだけどな、とか思ってしまった。
あー、ダメダメ。そんなこと考えたら、鶴見先生に失礼だ。
「おはようございます。今日はお世話になります」
自分でも笑ってしまうぐらいぎこちない挨拶になってしまった。
「もしかして音芽ちゃん、緊張してる?」
私が助手席に乗り込んだ途端、さんがちゃんになったことに気がついて、私は思わず鶴見先生を窺い見てしまった。
「ダメかな? ちゃん呼び。その方が何だか視密度が増すかなって思ったんだけど」
ついでに敬語も飛ばしちゃおうという腹づもりかしら。
私は「あ、大丈夫です」と、努めて他人行儀に返しながら、気持ちがざわつくのを抑えられなくて。
「パンケーキはお昼ご飯にするとして……少し時間があるよね。どこか行きたいところある?」
聞かれて、私は驚いてしまう。
てっきり即行でパンケーキ屋さんに行って、食べたら解散、だと思っていたんだけど……。
「えっと、あの……すぐにパンケーキ屋さんに行くんじゃ、ないんですか?」
恐る恐る聞いたら「ん? 音芽ちゃん、朝ご飯食べてないの?」と聞かれて。
いや、朝はしっかり食べてきた。
私がふるふると首を横に振ると「だったらまだお腹にゆとりないでしょ?」と畳み掛けられて。
うーーー。確かにおっしゃるとおりです。
私はいつもの癖で普通に朝食を食べてしまった今朝の自分を呪わしく思う。
何より!
パンケーキ屋さんに直行しなかったら温和たち?と出会えないかも知れないじゃない。
それって、まずいんじゃ……?
「おはようございます、音芽さん。鍵、かかってないので開けて乗り込んでもらってもいいですか?」
言われて、私は「あ、はい」と答えてモタモタとドアに手を伸ばす。
セルフで助手席に乗り込みながら、温和だったら一旦降りてきてドア、開けてくれるんだけどな、とか思ってしまった。
あー、ダメダメ。そんなこと考えたら、鶴見先生に失礼だ。
「おはようございます。今日はお世話になります」
自分でも笑ってしまうぐらいぎこちない挨拶になってしまった。
「もしかして音芽ちゃん、緊張してる?」
私が助手席に乗り込んだ途端、さんがちゃんになったことに気がついて、私は思わず鶴見先生を窺い見てしまった。
「ダメかな? ちゃん呼び。その方が何だか視密度が増すかなって思ったんだけど」
ついでに敬語も飛ばしちゃおうという腹づもりかしら。
私は「あ、大丈夫です」と、努めて他人行儀に返しながら、気持ちがざわつくのを抑えられなくて。
「パンケーキはお昼ご飯にするとして……少し時間があるよね。どこか行きたいところある?」
聞かれて、私は驚いてしまう。
てっきり即行でパンケーキ屋さんに行って、食べたら解散、だと思っていたんだけど……。
「えっと、あの……すぐにパンケーキ屋さんに行くんじゃ、ないんですか?」
恐る恐る聞いたら「ん? 音芽ちゃん、朝ご飯食べてないの?」と聞かれて。
いや、朝はしっかり食べてきた。
私がふるふると首を横に振ると「だったらまだお腹にゆとりないでしょ?」と畳み掛けられて。
うーーー。確かにおっしゃるとおりです。
私はいつもの癖で普通に朝食を食べてしまった今朝の自分を呪わしく思う。
何より!
パンケーキ屋さんに直行しなかったら温和たち?と出会えないかも知れないじゃない。
それって、まずいんじゃ……?