オトメは温和に愛されたい
***
窓外をぼんやり眺めながら、今日は曇天で外が薄暗いなぁと思う。
まるで私の心みたいにはっきりしない空模様。
流れる景色を見るとはなしに見ていて、ふと気がついた。
考えてみると、いま私は車の中で、運転は鶴見先生任せ。
私には行き先に対して、何の主導権もない状態だ。
(どこに連れて行かれるんだろう)
実際には一番最初に心配しないといけないことだろうに、私はどこまでも抜けている。
そりゃあ、しょっちゅう、少しは考えて行動しろと温和に怒られるわけだ。
「あの、た、大我さん、どちらへ?」
恐る恐る問いかけたら「ホテル」とか言われてビクッとする。
「え!?」
不安になりながらソワソワと彼を見たら、途端笑われてしまった。
「冗談だよ、冗談。目的地のパンケーキ屋に向かってる。とりあえずそこの近くに車停めて、あの辺ぶらぶらしながら話そうかなって。何なら車内で話すんでも構わないし」
言われて、少しホッとした。
「音芽ちゃんが同僚じゃなかったらもう少し危ない橋も渡れるんだけどね、さすがに気まずくなるのは避けたいんだよ、僕も」
仕事、やりづらくなるのは嫌でしょ?
そこでチラッと視線を送られて、私はコクコクと何度もうなずいた。
同僚じゃなかったら……どうなっていたんだろうと思うと、少しゾクッとした。
窓外をぼんやり眺めながら、今日は曇天で外が薄暗いなぁと思う。
まるで私の心みたいにはっきりしない空模様。
流れる景色を見るとはなしに見ていて、ふと気がついた。
考えてみると、いま私は車の中で、運転は鶴見先生任せ。
私には行き先に対して、何の主導権もない状態だ。
(どこに連れて行かれるんだろう)
実際には一番最初に心配しないといけないことだろうに、私はどこまでも抜けている。
そりゃあ、しょっちゅう、少しは考えて行動しろと温和に怒られるわけだ。
「あの、た、大我さん、どちらへ?」
恐る恐る問いかけたら「ホテル」とか言われてビクッとする。
「え!?」
不安になりながらソワソワと彼を見たら、途端笑われてしまった。
「冗談だよ、冗談。目的地のパンケーキ屋に向かってる。とりあえずそこの近くに車停めて、あの辺ぶらぶらしながら話そうかなって。何なら車内で話すんでも構わないし」
言われて、少しホッとした。
「音芽ちゃんが同僚じゃなかったらもう少し危ない橋も渡れるんだけどね、さすがに気まずくなるのは避けたいんだよ、僕も」
仕事、やりづらくなるのは嫌でしょ?
そこでチラッと視線を送られて、私はコクコクと何度もうなずいた。
同僚じゃなかったら……どうなっていたんだろうと思うと、少しゾクッとした。