小春日和
イオンはカップルでごったがえしていて、うっかりしていると圭兄とはぐれそうだった。それで圭兄のジャケットをつかむと圭兄が手をつないでくれた。

 雑踏の中話すにはすっごく顔を近づけないといけない。圭兄は私に顔を近づけ「今日は小春の欲しいものを買ってあげるよ。予算1万円な。クリスマスプレゼント」と言った。

 「え?!」って戸惑ってると、圭兄が「じゃあオレが決めるよ?」って言ってきた。圭兄はアクセサリーのお店に連れて行って、白いバンドの時計を一つ「これなんてどう?」って腕に合わけてせてくれた。かわいいので「うん」というと「せっかくだから付けて帰ろう。」ってお会計を済ませた後に腕につけた。

 あと、1階の香水屋さんで「好きな香水探して」って言って二人でいろんな香水をかいで、ジルbyジルシチュアートを選んだ。ダイヤモンドの形をした綺麗な瓶に甘いいい香りの香水。

 それを買い終わって、二人で夕飯をイオンで食べて帰りのバス乗り場に向かおうとする私を圭兄は引き留めた。

 そしてタクシー乗り場に乗って私の知らない場所の名前を言ってタクシーはしばらく走った。タクシーの中で「圭兄、なんで時計と香水買ってくれたの?」って聞いてみた。するととても優しい目で「これでもうリストカットしないだろ?オレからのお守り」って言ってくれた。私はうれしさで、タクシーの中で泣いてしまった。あったかいあったかいなみだだった。圭兄のことがさらに好きになった。

 降りたところは「フローランテ」という有料の公園だった。まだ6時だけど外はまっくら。けどその公園はイルミネーションですごくきれいだった。

 公園を歩くときも圭兄は手をつないでくれた。

 そして「宮崎は田舎だけど、ここのイルミネーションすごいだろ?小春に見せたかったんだ」ってテレながら圭兄は言った。「すごく綺麗!!ありがとう、圭兄!!」とにっこりと言ったら圭兄が「小春、ちょっと目をつぶって」と優しい声で言った。そして私の唇にそっと優しいキスをしてくれた。

 びっくりしていると「小春、好きだよ」って言ってくれた。「急にこんなこと言ってびっくりさせてごめん。でもオレは小春が好きだし、大事だよ」ってつないだ手をほどき、ぎゅって抱きしめてくれた。

 「私も圭兄が好きだよ」って言った。
 
< 10 / 15 >

この作品をシェア

pagetop