小春日和
 強いショックを受けた私は自分の殻に閉じこもるようになった。

 何でだろう。声が出ない。

 何でだろう。涙が流れない。

 お葬式が終わったと後に聞いた。

 しばらく施設にいたが母方の叔母さんが私を引き取りにきた。

 優しい笑顔で「小春ちゃん」と呼んでくれた。

 でも私は笑顔の作り方さえ忘れてしまってた。

 母方の叔父さんとおばさんは父の借金の肩代わりをしてくれていた。

 「小春ちゃんの荷物持ってきてあるわ。もうアパートも片づけたから。今日からうちで生活するのよ」と言われた。

 返事をしたかったけど、声が出ない。

 
 

 

 
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